投資信託のリターン比較に使われているベンチマークは必ず確認

投資信託の運用成績をS&P500や日経平均などのインデックスと比較しているグラフをよく見かけますが”正しいベンチマーク”で比較しているか確認をしていますか?

日本株投資の6割が「配当抜き」のベンチマークを使っている

日経新聞さんの記事はこちら

投資信託「好成績」うのみ禁物 配当込み指数で実力確認 - 日本経済新聞
投資信託を選ぶとき、運用会社が開示する報告書などで運用成績をチェックする人は少なくないだろう。月次リポートなどでは投信の基準価格と比較対象とする指数(ベンチマーク)の動きのグラフを掲載することが一般的だ。ただ基準価格がベンチマークを上回って...

 

まとめると。

■比較に使うべきベンチマーク

月次リポートなどでは投信の基準価格と比較対象とする指数(ベンチマーク)の動きのグラフを掲載することが一般的。

ベンチマークが本来比較対象とすべき「配当込み指数」ではないケースが多いため、基準価格がベンチマークを上回っていても本当に好成績とは限らない。

配当抜き指数
ニュースなどでよく目にして、日経平均なら対象225銘柄の株価変動だけを反映。

配当込み指数
対象資産の総合的な値動きを示すため、配当抜き指数を上回って推移する。期間が長期になるほど配当抜きとの差は広がる。

投信には組み入れ銘柄の配当金も入ってくるので株価変動と合わせた資産の総合的な変動率が運用成績の計算のもとになる。
「比較対象は配当込みであるべきだ」(金融庁)。

■日本株のアクティブ型投信Aのケース

「配当抜き」ではTOPIXを上回っているが、「配当込み」ではTOPIXに劣っている。

出典:日経新聞

■海外先進国株のインデックス型投信Bのケース
B投信は高コスト。高コストの場合、配当込み指数に比べると基準価格の下方乖離が大きくなるため、保有を続けることへの注意喚起になる。

しかし、配当抜き指数を使った結果、基準価格が指数を上回っていると、こうした判断もしづらくなる。

出典:日経新聞

■利用しているベンチマークの現状

・日本株投信のうちアクティブ型では57%、インデックス型では62%が”配当抜き”の指数を使っている。

市場平均に勝っていたはずのアクティブ型投信が、配当込みで比較すると実は負けていたという例も多く、投資家への説明が難しいので配当込み指数への切り替えをためらう声もよく聞かれる。

・三井住友トラスト・アセットマネジメント、野村アセットマネジメント、三菱UFJ国際投信は今後、ベンチマークを配当込み指数に切り替えると発表。

まとめ

投資信託の比較に使うべきベンチマークに関してご説明をしました。

投資リターンにはキャピタルゲインだけでなくインカムゲイン(配当)も含まれるので、投資信託のリターン比較に使うべきベンチマークは当然「配当込み」となる
投資業界の現状を指摘している良い記事でした。
 
「配当抜き」のベンチマークは特にアクティブファンドの販売トークなどによく使われていそうです。
投資オタクでもない高齢者を含む一般的な投資家がこのような内容を理解している訳がありません。
 
「配当抜き」で比較したグラフを見せられ、納得してしまうのでしょう。
 
運用会社は、世の中の投資家が知識を付けてきたため、ベンチマークを「配当抜き」から「配当込み」に切り替え始めています。
「配当抜き」のベンチマークを使っている商品はもう買わなくていいですね。
 
コストなど含め、まだまだ公開されていない情報は多いです。隠していた箇所を小出しに修正していくのではなく、金融庁の指導の元、より透明性を確保してもらいものです。
 
 
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