「米国経済のソフトランディングの見通しに関する勝利宣言は時期尚早である」
と元米財務長官である経済学者は語っています。
ソフトランディングする見通しと勝利宣言をするのはまだ早い
サマーズ元米財務長官は
米経済がソフトランディングするきざしは
まだないことが米労働省雇用動態調査(JOLTS)
で明らかになったとしています。
そして、このデータを元に
「労働市場を冷やすにはまだ長い道のりがあり、米国経済のソフトランディングの見通しに関する勝利宣言は時期尚早であることを示しています。」
としています。
米求人件数は予想外の増加
7月の米求人件数は予想外に増加し
6月も大幅に上方修正されています。
求人件数が2021年の終盤以来
1100万件を上回って推移し、
失業率も歴史的低水準にとどまっていて
労働市場は力強く推移しています。
7月は失業者1人に対する
求人件数が約2件で過去最高になっています。
失業率は求人数が減少した後で上昇する
過去のデータでは初めに求人数が減少し、
1年後に失業率が上昇することがわかっています。
縦軸:求人率
横軸:失業率
●求人のピークの月
●求人のピークから10%減少した月
●1年後
求人率が10%低下すると失業率は平均0.2%上昇するだけですが、その後1年間で失業率は平均2.5%増加します。
Recent JOLTS data confirm absence of evidence for a soft landing. Job vacancies remain very elevated, and the vacancy to unemployment ratio is at a record high.
My new analysis w @asdomash: https://t.co/ZrOVGETb8c
— Lawrence H. Summers (@LHSummers) August 31, 2022
まとめ
サマーズ元米財務長官が語った
米国経済の現状についてご紹介をしました。
米国経済では金融引き締めの
効果は見られず、
先はまだ長い道のりだということです。
サマーズ元米財務長官のこの発言の後、
8月の米雇用統計が発表され失業率は
7月の3.5%から3.7%に上昇しましたが
依然として強い雇用環境が続いています。
パウエル議長はもう後に引くことはできず、
ハト的な金融引き締めを
するしかない状況になってしまっています。
株式市場も急速にこの状況を
織り込んでいる状況です。
次のイベントは9月13日の
米消費者物価指数(CPI)です。
この結果によっては株価は
大きく動きますので
注目しておきましょう。
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