米国の今年前半のマイナス成長は、2024年まで続くかもしれない。これは、より深刻な景気後退の前触れかもしれません。
米国が景気後退を回避するためには「奇跡」が必要
モルガン・スタンレー・アジアの会長を務め、イエール大学の上級研究員で元連邦準備制度理事会のエコノミストである
スティーブン・ローチ氏は、米国が景気後退を回避するためには「奇跡」が必要だと8月29日のCNBCのインタビューで警告をしています。
「この大幅な金融引き締めの影響が出始めると、間違いなく不況になるだろう」
「今はまだ全く効いていない。」
彼は金融引き締めに向けてポール・ボルカー議長のアプローチを取る以外に選択肢がないと示唆しています。
1980 年代、暴走するインフレを抑えるために積極的に金利引き上げをしたのがFRBのボルカー議長です。
「ポール・ボルカーがインフレを食い止めるために米国経済に課した痛みの種類を思い返してみてください。彼は失業率を10%以上にしなければならなかった。」
「パウエルのFRBが約束を守り、規律を重視し、実質FFレートを制限金利に移行させた場合、インフレは回避できる。そして、制限的なゾーンとは、今いる場所から遠いところにあるのです。」
FRBの急激な利上げ軌道にもかかわらず失業率は3.5%です。これは1969年以来の最低水準です。
8月の雇用統計では、この状況が変わるかもしれない。失業率は上昇に転じると予測しています。
「これまでFRBが大幅な金融引き締めを行ったのに、そうならなかったということは、FRBがどれだけ多くの仕事をしなければならないかを示している」
「失業率はおそらく5%を超える、できればそれ以上高くならないことを願っている。しかし、6%になる可能性がある」
インフレが続いているため、消費者はすぐに降伏するでしょう。そうなれば、消費の落ち込みは経済全体に波及し、労働市場にも痛みを与えることになるだろうと予測しています。
「経済(GDP)が累積で1.5%から2%程度落ち込まなければならないだろう。そして、失業率は最低でも1〜2ポイント上昇しなければならないだろう」
「それは、典型的な不況だ」
まとめ
スティーブン・ローチ氏が予測している「米国の景気後退」についてご紹介をしました。
先週のパウエル議長のタカ的な講演内容で株価は大きく下がりました。
しかし、VIXは25程度、Fear & Greed Indexはいつの間にか50を超え市場は恐怖を感じていないと言ってもいいでしょう。
ローチ氏が語る8月の失業率が発表されるのは、9月2日(金)です。
米国経済はまだまだ強いので失業率はローチ氏が語るほどは急激には上がらないように思いますが、
もし、大きく失業率が上がるようなことがあれば金融引き締めの効果が出てきている。景気後退に向かっている。ということです。
市場が恐怖を感じていないので、これ以上大きく株価は下がらないのではないか。という意見も聞こえてきますがどうなるでしょうか。
9月は重要な月になりそうです。
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