私達の年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用改革を行っています。GPIF理事長へのインタビューで積極的な運用の一面があることが分かりました。
アクティブ・ベンチャー・ESG投資、週次リバランスを実施
GPIFは世界最大の機関投資家でポートフォリオは国内株式、海外株式、国内債券、外国債券の4つに投資をしています。
GPIFの運用方針の詳細についてはこちらで解説をしています。
日経新聞のGPIF理事長へのインタビュー内容はこちら。
まとめると。
・2022年10〜12月まで赤字が続いていたが、23年1〜3月はプラス収益を確保し、運用資産は22年度に期末ベースで初めて200兆円を超えた
・名目賃金上昇率+1.7%と複合ベンチマーク(運用指標)の収益率クリアが求められている
・基本ポートフォリオに沿った運用でリスク量を抑える一方で超過収益を獲得する
・市場の変動に対して今の基本ポートフォリオが適切かどうかは『適時適切』に検証する仕組み(以前は年に1回)
・資産間のバランスを常に基本ポートフォリオに近づける必要があり、リバランスの頻度や機動性が求められる
・現状は週次で市場の変化に対応する協議をし短期的に調整できるようにしている
・リバランス時には資産ごとにマーケットインパクトを与えない1日の取引量を想定し、実施している
・オルタナティブ投資(未上場株など)は伝統的資産より超過収益は期待できるがポートフォリオの構築に時間がかかる
・運用資産額に占めるオルタナティブ投資の規模を最大5%としている
・国内の上場株市場に占めるGPIFの保有割合は7%程度でベンチャー投資を含む未上場株投資でも将来的には同程度が目安
・過去の運用実績や投資銘柄、取引情報など膨大なデータを分析し、今後も超過収益を上げる可能性の高いファンドを選定する手法を昨年に導入
・米国株を対象にした分析で成績の良いファンドの超過収益源はS&P500構成銘柄のうち上位100社を除いた400社の銘柄選定力にあることが分かった
・このような分析から昨年度は北米を対象に19の株式ファンドを採用
・日本を除く先進国株と日本株のアクティブファンドの選定でも同様の手法を用いる方針
・現状はポートフォリオ全体の8割がパッシブ(2割がアクティブ)
・アクティブとパッシブの比率は決めていないがアクティブを増やすとポートフォリオ全体のリスク量が上がるため限界がある
・常に指数の改善や入れ替えを検討する
・より良いESG指数があれば超過収益の獲得や長期的なリターンのために、既存指数との入れ替えなども含めて検討する
※3月には指数の見直しも実施
・ESG投資の効果検証を2つの観点で実施
・GPIFが国債と社債の配分を調整できるように変更
・外債運用では多様なパッシブファンドを活用
・国内債券運用は超過収益を狙うアクティブ運用に変更
・副最高投資責任者(CIO)を新たに設置(まだ空席)
・給与体系の見直しを実施
・給与テーブルの幅を上下に広げ、若い人も含めて積極的に採用
・求められるリターン水準などは財政検証を受けて決まる
・来年の夏ごろに財政検証の結果が出ると想定され、その結果、リターン目標が変わる可能性がある
まとめ
GPIGの現状の運用方針と改革の内容などについてご紹介をしました。想像した内容より具体的でおもしろかったので、ほとんどの内容を書いてしましました。^^
・基本方針は国内外の株式と債券に4分の1ずつ投資
・ポートフォリオ全体の8割がパッシブ、2割がアクティブ投資
・サテライトとしてベンチャー、アクティブファンド、ESG投資などを実施
リターンが大きく下がったと思われるハーバード大学の2022年のポートフォリオとリターンは公開されていませんでした。出資者にだけ教えているのですかね…。
GPIFは長期の投資家であり、豊富な流動性資産を有していることから、あえて流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで、
投資ポートフォリオの効率性を向上しつつ超過プレミアムを獲得することを目指しています。
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海外の年金基金では、このような特性・効果をもつオルタナティブ資産の運用を行うことによる分散投資を推進しています。
2020年度から始まったGPIFの第4期中期計画では、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)の運用を行うこととされています。
オルタナティブ資産の運用は個別性が強く、また、流動性の低さからも投資評価時及び投資実行後のリスク管理は重要な課題であり、引き続きリスク管理を含めた運用体制の強化に努めていきます。
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