新NISAの対象投信の選定で金融庁と運用会社がバトル

先日、新NISAの「成長投資枠」に1000本の商品が選定されたことについてご紹介をしましたが、その選定時に金融庁と運用会社の間でバトルが繰り広げられていたようです。

新NISA「成長投資枠」の商品の公表内容についてはこちら

新NISAの投資信託、第1弾を公表 レバレッジ・毎月分配・期間20年未満は除外
投資信託協会は新NISAの「成長投資枠」で購入できる投資信託1000本を公表しています。

投資信託の選定基準が厳しすぎる?

日経新聞さんの記事はこちら

新NISA、運用会社と金融庁に不協和音 対象投信選定で 金融取材メモ - 日本経済新聞
2024年に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)の「成長投資枠」対象の投資信託を巡り、運用業界と金融庁の間で不協和音が生じていた。投資信託協会は21日、第1弾として約1000本の投信を発表したが、商品の選定基準で両者が対立。一部の運用...

まとめると。

■成長投資枠、投資信託の選定基準

成長投資枠の投信にはいくつかの条件が設けられている。

デリバティブ(金融派生商品)規制
長期の資産運用に適さないため、デリバティブの使用を為替変動リスクを抑えるなどのヘッジ目的に限定。

特定の指数の2倍の値動きになるレバレッジ型や通貨選択型などリスクの高い商品を除外するのが狙い。

■運用会社の反発内容と商品選定の経緯

デリバティブ規制について「基準が厳しすぎる」として一部の運用会社が猛反発。

運用効率を高めるためにヘッジ目的外でデリバティブを使用する手法は世界の運用大手も採用しているので「デリバティブの使用が投機的だとは一概に言えない」と主張。

デリバティブを巡る議論を投信協会はまとめ上げることができず、当初は5月下旬とされていたリスト公表は6月に後ずれした。

最終的には、デリバティブ利用をヘッジ目的に限定する旨を約款に記載すれば成長投資枠の条件を満たすことになった。

運用会社が商品の運用実態を精査し、基準を満たすと判断したものを投信協会に申請することになった。

投信協会は商品の選定はせず、申請されたものをそのままリストに載せるということで落ち着いた。

金融業界
「基準を厳しく設定したのは金融庁。商品数を絞りたいのか増やしたいのか分からない」「投信協会は運用会社と金融庁のどちらを向いて仕事をしているのか」
「投信協会は当局に何も言い返せない協会だということが明らかになった」

金融庁
「ヘッジ目的を拡大解釈して新NISAの対象商品として届け出しようとする動きもある」

■新NISA商品選定の今後

投信協会は年末にかけて随時リストを更新する予定。
デリバティブ規制に引っかかるかどうかぎりぎりの「グレー」な商品が入る可能性がある。

約款でヘッジ目的を記載しながらデリバティブを他の用途で使っていることが判明した場合、金融庁は行政罰を辞さない構え。

「貯蓄から投資」の主役であるはずの個人投資家は置き去りになっている。

まとめ

新NISA、対象投資信託の選定での金融庁と運用会社のバトル内容についてご紹介をしました。

金融庁は運用会社側に押されてしまっている印象です。このように新NISAの商品が選定されていることを知り、心配になってきました。

・デリバティブ利用をヘッジ目的に限定する旨を約款に記載すれば成長投資枠の条件を満たす

・”運用会社が”商品の運用実態を精査し、基準を満たすと判断したものをのまま新NISA対象商品のリストに載せる

商品を選定する前の前提として、新NISAは「誰」が「何のため」に使うものなのかということを今一度考えてもらいたいです。

今後、新NISAを利用する方の多くは投資が詳しい人ではありません。

そのような方が老後資金を作るために長期投資で利用することを考えればおのずとレバレッジ型の商品などは不要になるはずです。

NISA口座の商品は基本的なシンプルな優良商品だけを選定いただきたいです。選定商品を見ましたが、?と思うような商品も含まれていました。

お金儲けをしたい運用会社の言い分として見れば分からなくもないですが、運用会社が売りたい商品はNISA口座以外の特定口座でがんばって?販売してもらいたいものです。

下記のように金融庁はフィルターになってくれる(なってもらわないと困る)とは思っています。

約款でヘッジ目的を記載しながらデリバティブを他の用途で使っていることが判明した場合、金融庁は行政罰を辞さない

しかし、最終的には私達が判断するしかありません。商品を選択する力をつけ、新NISAを自由を手にするための手段として賢く使っていきましょうね。

新NISA商品の詳細な選定基準ってどこかで公表しているのですかね?

 

 

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