新NISAの制度設計をした金融庁の担当者が裏側を告白

新NISA開発の裏側について金融庁のキーマンが暴露をしています。

新NISAは2018年「つみたてNISA」開始時には検討が始まる

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金融庁の金融税制調整官が語った「新しいNISA」誕生の裏側 | 東証マネ部!
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2024年から始まる新NISAの制度設計を担当した金融庁 総合政策局総合政策課 金融税制調整官の今井利友氏が新制度開発の裏側を語っています。

■総額管理はどのようにして生まれたのか

<生涯の非課税投資枠>
現NISA
※以下2つのいずれかのみ
一般NISA 600万円
つみたてNISA 800万円

新NISA
※以下2つの併用が可能
成長投資枠 600万円
つみたて投資枠 1200万円 

・2018年に『つみたてNISA』がスタートすることが決まった時点で検討が始まっていた

・2017年の終わりくらいに金融庁の幹部から『一般・つみたて・ジュニアの3種類』を将来統合するから検討してほしいと言われた時に総額管理の案を出した

・NISAを恒久化すると、生涯にわたって金額を管理することになるので、総額管理は一度ボツになり代替案として2階建て方式が出てきた

・2階建ては理解を得られず、総額管理のシステム開発が思っていたよりお金がかからないことが分かったので再び総額管理となった

・『つみたてNISA』は1200万円で要望を出して800万円になったが、『新しいNISA』は金融庁から要望を出さず、政治的な決断に任せた結果、1800万円という金額になった

■簿価残高方式(買値で最高1800万円まで活用できる)になった理由

・再チャレンジできる制度のほうがいいんじゃないかということで、決まった

・例えば病気で入院費がかかり、お金を下ろしても翌年から再チャレンジできる

・本当に必要なお金は取り崩して使いながら、何度でも積み立てられる制度にしたいと思い、簿価残高方式での管理を採用した

■『新しいNISA』の名前は『NISA』

・これまでは『一般NISA』『つみたてNISA』『ジュニアNISA』と分けていましたが、2024年からは『NISA』に一本化される予定

・2023年の間は現行のNISAと混同してしまうので、『新しいNISA』としている

■NISAのブランド化

・NISAのモデルとなったイギリスの『ISA(アイサ)』の成功はブランド化にあったことが分かった

・思うように進んでいないので改めてブランド化を進めようと考えている

■今後のNISA改良の可能性

・未成年がNISAにチャレンジできる制度を、何かしらの形で実現したい

『一般NISA』『つみたてNISA』『ジュニアNISA』を統合する予定だったが『ジュニアNISA』を取り残してしまった。

日本は金融教育が遅れていて、多くの人が資産形成を意識するのは社会人になって仕事が安定してから。

しかし、海外では就職前後の時点で考え始める傾向がある。この遅れを解消するには、若いうちから投資に馴染むことが非常に重要と考えている。

まとめ

新NISA開発時の裏側について今井氏が語った内容についてご紹介をしました。

担当者しか分からないエピソードが出てきてなかなかおもしろいですね。

特に以下の内容は「へぇー」という感じでした。

・成長投資枠、つみたて投資枠の総額管理方式は一度ボツになっていた
・生涯の非課税投資枠1800万円は政治的な決断のみで確定
・『ジュニアNISA』は政治的な決断で外された?
結果オーライでしたが、総額管理方式をボツにする前に開発費の確認とかしなかったのですかね。2階建ての複雑怪奇な案が運用開始直前まで進められた意味がわかりません。
力を持っている人が発案していたとかですかね?
非課税枠の1800万円についても結果オーライです。政権の支持率が下がり、投資家の冷たい視線を浴びている時に政治的にはサプライズが欲しかったのでしょう。
今後の岸田政権の増税が恐ろしいですが…。
ジュニアNISAの廃止は残念でしたが、今の政権の唯一の?よいサプライズである「新NISA」を効率的に活用していきましょうね。
 
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