「新NISAをめぐるQ&A10選」として山崎元さんが新NISAの利用方法に質問形式で回答しています。「高配当株式の配当にこだわる投資からは卒業を」なんて回答もあり、その真意を語っています。
新NISAの有効的な利用方法
山崎元さんは新NISAの有効的な利用方法についてこのように解説しています。
新NISAを利用する上での2大原則です。
2.最も効率のいい資産(全世界株式のインデックスファンド)のみに投資する
新NISA 10個の疑問と回答
山崎元さんの新NISAに関する10個の疑問に対してこのように回答しています。
各疑問に対する回答をまとめると以下のようになります。
つみたて投資枠と成長投資枠の投資対象商品の分散について教えて下さい。例えば、インデックスファンドで、世界株、先進国株、新興国株、日経平均、S&P500など、多くに分散すると効果がありますか?
A1
分散投資では運用商品が実際に投資している「中身」が問題で、商品の数を増やすことには意味が無い。
商品を少数、できれば一つに絞ることができると、管理が簡単になることに加えて、手数料も手間も節約できる。
合理的な判断としては、全世界株式のインデックスファンド1本でいい。
新NISAとiDeCoの使い分けをどうしたらいいか教えて下さい。
A2
所得が継続的にある人は、iDeCoの税制上のメリットが大きいので、先ずはiDeCoを優先的に使って、iDeCoに入りきらないお金を新NISAを使って運用していくような順位付けが合理的。
新NISAの出口戦略について教えて下さい。いつまで続けて、どのように取り崩すと考えたらいいのでしょうか?
A3
運用資産額を「予想される平均余命+10」(年)くらいの数字で割って、一年間に取り崩すことができる金額の見当を付けるといい。
税制上有利なお金の置き場所をより有効に使うため、新NISAの資産の取り崩しをなるべく後回しにする。
インデックス運用とアクティブ運用の今後の優劣について、展望をお聞かせ下さい。
A4
インデックス運用がアクティブ運用に勝る理由は、前者が「後者の平均」をよりローコストでじっと保有するからです。アクティブ運用の進歩の有無や、マーケットの環境などには基本的に関係がありません。
インデックス運用の「平均を持ってじっとしている」ことの優位性は原理的に動きません。
高配当株式への投資は新NISAでの資産形成に有効でしょうか。
A5
新NISAの運用で高配当株式がいいはずだと言える一般論としての理由はありません。
トータルリターンが同じなら配当に回るよりも株価が上昇する方が節税枠をより有効に使うことができる。
新NISAでの投資は、なるべく回転率を下げることができるようにバランスの取れた分散投資を行うことが一応のセオリーになる。
配当や分配金のようなインカムゲインにこだわる意思決定を早く卒業することをお勧めしたい。
インカムゲインとキャピタルゲインを区別せずにトータルで合理的に投資して、お金が必要なら部分的に解約するアプローチでいいはず。
海外債券への投資の有効性をどのように考えていますか?
A6
債券と株式の分散投資効果は必ずしも安定してなく、債券に資金を回すと一定の金額の投資の中では獲得が期待できるリスクプレミアムが小さくなる。
外債投資に回すお金があれば一部ないし全部を内外の株式に充てる方がいい場合が多いのではないか。
運用を複雑化しないことのメリットまで考えると、外国債券まで手を広げなくてもいい。
日銀の新体制と新NISAでの投資の関連について考えを聞かせて下さい。
A7
長期的な資産形成の観点からすると、日銀やFRBが当面どのような政策を採るかは、殆ど影響がないか、影響はあってもそれを予測して運用を改善することはできないかのいずれかである可能性が大きい。
淡々と投資していればいい。
新NISAでのお勧めポートフォリオを、さまざまな対象者別に教えて下さい。山崎さんが勧める「全世界株式のインデックスファンド1本」以外の商品・組み合わせで答えて下さい。
A8
たぶん、株式の外に内外のREITを少々使うと思います。
しかし、例えば私が運用してみたいと思うアロケーションのポートフォリオは存在しますが、そのポートフォリオと全世界株式一本の運用との優劣は、そもそも微差のはずですし、どちらが優れているかは何とも言えないのが現実です。
既に特定口座あるいは既存のNISA口座で運用している資産の新NISA口座への振替の考え方と方法について教えて下さい。
A9
先ず銀行預金から、次には特定口座から資金を引き出して、年間360万円の上限にできるだけ近づけるように新NISAで投資してしまいましょう。
生活費や大きな買い物などにお金が必要になれば、銀行預金、特定口座、新NISA口座の順に資金を引き出して使えばいいし、また投資できるお金ができたら、今度は新NISAから投資し始めたらいい。
一般NISAやつみたてNISAの資産は、それぞれが利用している制度の期限が来るまでできるだけ置いておくことが合理的。
私はアーリーリタイアと同時に投資を始めました。リタイア層における新NISAの使い方について教えて下さい。
A10
「高齢だから」、「リタイアしているから」といった理由で適切な運用のやり方が他の条件の人と変わることはありません。
普通の人と同じように、普通に合理的に運用すればいいのです。
細かな運用のあれこれを気にせずに、大いに人生を楽しまれてはいかがでしょうか。
投資は人生のためにあります。人生が投資のためにある訳ではありません。
まとめ
新NISAの10個の疑問への山崎元さんの回答をご紹介しました。興味深い内容や知りたかった内容などもあったのではないでしょうか?
山崎元さんが話されている内容については、毎度のことながら同意します。ブレない回答で気持ちがいいですね。
しかし、今回は2点ほどQ2とQ5で考えが異なる部分がありました。
山崎元さんは究極的に合理的な選択を推奨され論理的には納得しますが、
NISA制度で投資をする上で論理的ではない部分、人間の心理的、生き物的なところで今回の回答が当てはまらないところがあると感じました。
新NISAとiDeCoの使い分けをどうしたらいいか教えて下さい。
A2
所得が継続的にある人は、iDeCoの税制上のメリットが大きいので、先ずはiDeCoを優先的に使って、iDeCoに入りきらないお金を新NISAを使って運用していくような順位付けが合理的。
簡単には以下の理由でiDeCoはおすすめしていません。
2.年金として利用できない可能性がある年金制度
3.運用手数料が高い
高配当株式への投資は新NISAでの資産形成に有効でしょうか。
A5
新NISAの運用で高配当株式がいいはずだと言える一般論としての理由はありません。
トータルリターンが同じなら配当に回るよりも株価が上昇する方が節税枠をより有効に使うことができる。
新NISAでの投資は、なるべく回転率を下げることができるようにバランスの取れた分散投資を行うことが一応のセオリーになる。
配当や分配金のようなインカムゲインにこだわる意思決定を早く卒業することをお勧めしたい。
インカムゲインとキャピタルゲインを区別せずにトータルで合理的に投資して、お金が必要なら部分的に解約するアプローチでいいはず。
投資効率を求めインデックス投資をするのか、投資効率が落ちてもフローを生み出す高配当株式投資をするのかは自分自身の投資の方向性によって選択をしましょう。
インデックス、高配当株投資の両方を選択するのもありです。
かつての私もそうでしたが、フローというものは、なくなることを経験しないと本当の怖さは理解できないのでしょう。
ただし、新NISA口座で高配当株投資を選択するかは未定です。非課税枠では自動で再投資が行われる投資信託でのインデックス投資が効率が良いことに間違えはありません。
もう少し悩むことにします。
山崎元さんは「投資の真実は1つ!」とコナン君のようなことを言いますが ^^(理論的に正解であることに間違えはありません)、自分に合った投資方法を選択すればよいと思っています。
ただし、変な商品には引っかからないようにしてくださいね。
コメント