GPIFの運用方針は意外にも積極的 アクティブファンド、ベンチャーにも投資

私達の年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は運用改革を行っています。GPIF理事長へのインタビューで積極的な運用の一面があることが分かりました。

アクティブ・ベンチャー・ESG投資、週次リバランスを実施

GPIFは世界最大の機関投資家でポートフォリオは国内株式、海外株式、国内債券、外国債券の4つに投資をしています。

GPIFの運用方針の詳細についてはこちらで解説をしています。

「投資はしないほうがいい」と思っている人も実は投資をしている話 GPIFに学ぶ投資の基本
「投資はしないほうがいい」と思っている人でも、既に投資はしています。あなたが支払ったお金で間接的に投資がされているのです。現代社会は投資とは切り離せない社会になっています。

 

日経新聞のGPIF理事長へのインタビュー内容はこちら

GPIF理事長に聞く運用方針「資産再配分、週次で調整も」 - 日本経済新聞
世界最大の公的年金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が「運用改革」を進めている。膨大なデータを分析して優秀なアクティブファンドを選定したり、週次で運用状況を確認しポートフォリオの調整に動いたりする。収益源の多様化のため国内の未...

まとめると。

■GPIFの現状の運用収益

・2022年10〜12月まで赤字が続いていたが、23年1〜3月はプラス収益を確保し、運用資産は22年度に期末ベースで初めて200兆円を超えた

■GPIFの基本方針

・国内外の株式と債券に4分の1ずつ投資する

・名目賃金上昇率+1.7%と複合ベンチマーク(運用指標)の収益率クリアが求められている

・基本ポートフォリオに沿った運用でリスク量を抑える一方で超過収益を獲得する

・市場の変動に対して今の基本ポートフォリオが適切かどうかは『適時適切』に検証する仕組み(以前は年に1回)

 

■GPIFのリバランス方針

・資産間のバランスを常に基本ポートフォリオに近づける必要があり、リバランスの頻度や機動性が求められる

・現状は週次で市場の変化に対応する協議をし短期的に調整できるようにしている

・リバランス時には資産ごとにマーケットインパクトを与えない1日の取引量を想定し、実施している

■ベンチャー投資(昨年から開始)

・オルタナティブ投資(未上場株など)は伝統的資産より超過収益は期待できるがポートフォリオの構築に時間がかかる

・運用資産額に占めるオルタナティブ投資の規模を最大5%としている

・国内の上場株市場に占めるGPIFの保有割合は7%程度でベンチャー投資を含む未上場株投資でも将来的には同程度が目安

■アクティブファンド投資

・過去の運用実績や投資銘柄、取引情報など膨大なデータを分析し、今後も超過収益を上げる可能性の高いファンドを選定する手法を昨年に導入

・米国株を対象にした分析で成績の良いファンドの超過収益源はS&P500構成銘柄のうち上位100社を除いた400社の銘柄選定力にあることが分かった

・このような分析から昨年度は北米を対象に19の株式ファンドを採用

・日本を除く先進国株と日本株のアクティブファンドの選定でも同様の手法を用いる方針

・現状はポートフォリオ全体の8割がパッシブ(2割がアクティブ)

・アクティブとパッシブの比率は決めていないがアクティブを増やすとポートフォリオ全体のリスク量が上がるため限界がある

■ESG投資

・常に指数の改善や入れ替えを検討する

・より良いESG指数があれば超過収益の獲得や長期的なリターンのために、既存指数との入れ替えなども含めて検討する
※3月には指数の見直しも実施

・ESG投資の効果検証を2つの観点で実施

①委託先の資産運用会社と企業との対話などスチュワードシップ活動が企業価値向上とどのように関連しているか

②GPIFによるESG投資が企業行動にどの程度影響を及ぼしているのか

■債券投資

・GPIFが国債と社債の配分を調整できるように変更

・外債運用では多様なパッシブファンドを活用

・国内債券運用は超過収益を狙うアクティブ運用に変更

■GPIFの給与、人事

・副最高投資責任者(CIO)を新たに設置(まだ空席)

・給与体系の見直しを実施

・給与テーブルの幅を上下に広げ、若い人も含めて積極的に採用

■GPIFに求められるリターン水準

・求められるリターン水準などは財政検証を受けて決まる

・来年の夏ごろに財政検証の結果が出ると想定され、その結果、リターン目標が変わる可能性がある

まとめ

GPIGの現状の運用方針と改革の内容などについてご紹介をしました。想像した内容より具体的でおもしろかったので、ほとんどの内容を書いてしましました。^^

■GPIFの現状の運用方針

・基本方針は国内外の株式と債券に4分の1ずつ投資

・ポートフォリオ全体の8割がパッシブ、2割がアクティブ投資

・サテライトとしてベンチャー、アクティブファンド、ESG投資などを実施

 
ほぼ、パッシブ投資をしていると理解していたのですが、ここまでアクティブ投資を取り入れていた、取り入れていくとは少しだけ驚きです。
驚異的なリターンを叩き出しているハーバード大学(ポートフォリオの70%以上がオルタナティブ投資)に触発されたのでしょうか。

2021年度のポートフォリオとリターン ハーバード大学のホームページより

リターンが大きく下がったと思われるハーバード大学の2022年のポートフォリオとリターンは公開されていませんでした。出資者にだけ教えているのですかね…。

GPIFホームページを見るとこのようなポートフォリオが公開されていますが、この内容ではそのような投資がされていることは分かりません。
どこかで公開されている?のかもしれませんがより詳細なポートフォリオも公開してもらいたいです。
いつから表記されているのかは分かりませんが、このような「オルタナティブ投資」、「ESG投資」の説明と運用の概要説明だけはあります。

GPIFは長期の投資家であり、豊富な流動性資産を有していることから、あえて流動性の低いオルタナティブ資産をポートフォリオに組み入れることで、

投資ポートフォリオの効率性を向上しつつ超過プレミアムを獲得することを目指しています。

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海外の年金基金では、このような特性・効果をもつオルタナティブ資産の運用を行うことによる分散投資を推進しています。

2020年度から始まったGPIFの第4期中期計画では、資産全体の5%を上限にオルタナティブ資産(インフラストラクチャー、プライベート・エクイティ、不動産)の運用を行うこととされています。

オルタナティブ資産の運用は個別性が強く、また、流動性の低さからも投資評価時及び投資実行後のリスク管理は重要な課題であり、引き続きリスク管理を含めた運用体制の強化に努めていきます。

オルタナティブ投資は2014年から実施され2023年3月には2兆8000億円となっているようです。
以下のグラフからヘッジファンド的なところにほぼ丸投げしていると思われます。どのぐらいのリターンが出ているか公開してもらいたいものです。
 
GPIFがしているオルタナティブ投資などを否定する気は全くないですが、投資しているお金は国民が支払った年金ですので詳細内容についても、国民が分かる形できちんと公開していただきたいものです。
もし、間違ったことをしたまま走り続けられても困りますからね。
運用金額が金額だけに実は「ヘッジファンドだけが儲けていた」なんてことになっていたら、さすがにいい気持ちにはなりません。
私達が監視できるところは監視をしていきましょう。
 
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