【事例で解説】FIRE 退職金/iDecoの税金とお得な受け取り方

バフェともです。

難解な退職金、iDecoにかかる税金の計算方法と受け取り方法について分かりやすく解説します。事前に知っておくことで税金をおさえることができます。

 

iDecoの法改正で変わること

2020年のiDecoの法改正により2022年から以下の内容に変更となります。
特に2の75歳まで受け取りが可能になったことを理解してもらえれば大丈夫です。

1.加入年齢が60歳から65歳に拡大【2022年5月~】

2.受け取り可能年齢が60~70歳から60歳~75歳に拡大【2022年4月~】

3.企業型確定拠出年金とiDeCoの同時加入要件の緩和【2022年10月~】

 

最適なiDecoの受け取り方法

iDecoには以下の3つの受け取り方法がありますが、結論として最も税金がかからないのは1の一時金で一括に受け取る方法です。

特に理由がない場合は一時金で受け取る方法を優先しましょう。

 

1.一時金として一括で受け取る
受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、70歳に到達するまでの間に、一時金として一括で受け取れます。

2.年金として受け取る
iDeCoを年金で受け取る場合は有期年金(5年以上20年以下)として取り扱います。
受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で支給されます。

3.一時金と年金を組み合わせて受け取る
受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達した時点で一部の年金資産を一時金で受け取り、残りの年金資産を年金で受け取る支給方法を取り扱っている運営管理機関もあります。

 
 
補足としてiDecoは基本的には10年以上の加入期間が必要ですが、10年に満たない方は以下の年齢から受け取りが可能になります。
 
加入期間 受け取り可能年齢
10年以上 60歳
6年以上8年未満 62歳
2年以上4年未満 64歳
8年以上10年未満 61歳
4年以上6年未満 63歳
1ヶ月以上2年未満 65歳
 

退職金・iDeco(一時金)の税金についての計算方法

通常の会社からの退職金とiDecoの税金は法律上は両方ともに退職金として扱われています。

退職金とiDecoで最も税制負担が少ない「一時金として受け取る」場合の税計算について事例を元にご説明します。

現時点で細かな計算方法が不要な方はこの項目は読み飛ばしてください。

 

1.退職所得控除額

勤務年数(iDecoの加入年数)20年を境に控除額が大きく異なります。1つの会社に長く勤めて下さいってことなのですかね。

勤務年数(iDecoの加入年数) 退職所得控除額
20年以下 40万円 × 勤続年数
21年以上 70万円 ×(勤続年数-20年)+ 800万円

 

2.課税される退職所得額

退職金の中で課税される対象の金額です。
退職金やiDecoの額から退職所得控除額を引いた半分が課税される退職所得額となります。
 
課税される退職所得額 =(退職金またはiDecoの額 ー 退職所得控除額)× 1/2
※退職金とiDecoを同時に受け取る場合は合算
 
 

3.退職所得税

退職金・iDecoの額に課税される所得税です。
税率、控除額は年度毎に国税庁で決めているようですので、国税庁のホームページで確認をしてください。
 
2020年分所得の課税表
 
退職所得税 = 課税される退職所得額 × 退職課税の税率 ー 退職課税の控除額
※退職課税の税率と退職課税の控除額は2020年度分所得の課税表より引用
 
 

4.復興特別所得税

東日本大震災に関して課税されている税金です。通常の給料にも課税されています。
 
復興特別所得税 = 退職所得税 × 2.1%
 
 

5.市民税

お住まいの市町村のホームページなどで税率を確認してください。ここでは課税される退職所得額の6%としています。
 
市民税 = 課税される退職所得額 × 6%
 
 
 

6.県民税

お住まいの市町村、都道府県のホームページなどで税率を確認してください。ここでは課税される退職所得額の4%としています。
 
県民税 = 課税される退職所得額 × 4%
 
 
 
 
 
 
 
計算式が分かったところで以下の事例で実際に計算をしてみましょう。
 
<Aさんの例>
年齢:40歳
勤続年数:15年3ヶ月
退職金:1500万
 

1.退職所得控除額
40万円×16年=640万円
※退職年数は15年を1日でも超えたら16年となる

2.課税される退職所得額
(1500万円-640万円)×1/2=430万円

3.退職所得税
430万円×20%-42万7500円=43万2500円

4.復興特別所得税
43万2500円×2.1%=9082円
※小数点以下切り捨て

5.市民税
430万円×6%=25万8000円
※100円未満切り捨て

6.県民税
430万円×4%=17万2000円
※100円未満切り捨て

 

 

上記のケースで退職金1500万円にかかる税金です。
3.退職所得税+4.復興特別所得税+5.市民税+6.県民税=87万1582円

そして実際に振り込まれる退職金額です。
1500万円-87万1582円=1412万8418円

このケースの税率は5.8%になりました。

 

FIRE後のiDecoの受け取り方

iDecoで最もやっかいなのが、受け取り方です。

ある程度の規模の退職金制度がある企業の方が定年退職後に退職金とiDecoを受け取ろうとすると退職金だけで控除枠を使い切ってしまうケースが多いように思います。

かなりの地獄仕様ですね。頭がよい方がこの制度を考えたのでしょう。

実費で拠出しているのに引き出し額に税金がかかるって・・・

 

 

退職金を受け取ってから20年が経過すると再度、退職控除がフルで使えるという仕様になっています。

 

例えば45歳でFIREをして退職金を受け取った方の場合、10年の加入期間があれば65歳で退職控除をフルに使った控除が可能ということですね。

 

高齢になってから細かい計算や判断ができるとは思えないのでiDecoの受け取りを70歳としても50歳にはFIREをしていないといけません。最長でも55歳ぐらいでしょうか。

 

いずれにしても、FIREした方は20年開けてからiDecoを一時金で受け取るのが現時点では最も良い受け取り方法です。

 

iDecoの地獄仕様については改善を希望します。

 

 

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